2747.今日の植物(2230):ヘミオニティス
ヘミオニティスは、イノモトソウ科 Hemionitis 属(ヘミオニティス属)の植物で、The Plant Listには8つの種が取り上げられているという小さな属の植物です。
ウイキペディアの情報によりますと、このHemionitis 属の分類上の取り扱いについて議論がされているということで、別の説では450もの種を擁する大きな属とするものもあるということです。そのうちの最も狭義のHemionitis 属としては、熱帯アメリカ原産の植物群ということになるようです。
写真です。
カエデアミシダ Hemionitis palmata
切手です。
カエデアミシダ Hemionitis palmata
2015年 セントビンセント・グレナディーン ユニオン島(シダ)
2746.今日の植物(2229):コケシノブ
コケシノブは、コケシノブ科 Hymenophyllum属(コケシノブ属)の植物で、The Plant Listではこの属に分類される種が175ほど挙げてありましたので、かなり大きな属ということになります。
属名のHymenophyllumは「膜状の葉」という意味です。英語名もfilmy fern(膜状のシダ)とされるように、薄い葉は通常は細胞1個分の厚さだそうです。従って、乾燥に弱く、湿度の高い環境に分布するシダだということです。
切手に描かれているHymenophyllum polyanthos種は、英語名をKorean filmy fern(韓国の膜状シダ)と呼ばれています。和名はホソバコケシノブ、ヒメコケシノブ、フジコケシノブ、ホソバヒメコケシノブなどがあり、岩手県以南に分布しているということです。世界的に見ても、熱帯地域から寒帯地域までの広い範囲に分布している種のようです。
写真です。気づかずに見たことがあるのでしょうが、手元に写真がありませんでしたので、ネットから借用しています。
ホソバコケシノブ Hymenophyllum polyanthos
●ウイキペディアによれば、この種は生育環境によって外観が大きく違ってくるのだそうです。例えば、葉の幅は乾燥した環境では細くなり、湿気のある環境では広くなるなどで、多くの種がいわれているのですが、外観の違いなのか、種として違いなのか明確でない、といった例もあるようです。
切手です。
ホソバコケシノブ Hymenophyllum polyanthos
2015年 セントビンセント・グレナディーン ユニオン島発行(シダ)
2745.今日の植物(2228):ホシダ
ホシダは、ヒメシダ科 Cyclosorus属(ホシダ属)に分類される植物で、The Plant Listでは172の種名が挙げてありましたので、かなり大きな属ということになりそうです。
ウイキペディアのこの属に関する情報によりますと、Cyclosorus 属を非常に大きな(ヒメシダ)属に取り込む見解や、Cyclosorus 属の方に他の属を取り込む見解などがあって、はっきりとしていないようです。
切手では種名はCyclosorus opulentusとされています。The Plant Listではこの種名が確認された種とされていますが、日本のYListでは、(サキミノホシダ)が標準で、Cyclosorus opulentusはその同義とされています。
またThe Plant ListではCyclosorus opulentusの同義としてNephrodium opulentumという別の属名も出てきて、こんがらがりそうですが、いずれにしてもまだ様々な見方がされているということでしょう。
もう一つ興味を持ったのは、その種名がCyclosorus opulentus (Kaulf.) Nakaikeとされていて、Nakaikeという日本人と思われる名前が登場していることです。これは、この植物がNakaike氏によってCyclosorus opulentus属に移されたということを示しているということを表すものだとされています。
このNakaike氏についてネットで調べてみましたら、中池敏之氏のことだろうということがわかりました。
ほかの情報では、1990年度 から 1993年度に 国立科学博物館の植物研究部 主任研究官をされていた方のようです。命名者に日本人のお名前が出てくると嬉しいものです。
写真です。
サキミノホシダ Cyclosorus opulentus
切手です。
サキミノホシダ Cyclosorus opulentus
2015年 セントビンセント・グレナディーン ユニオン島発行(シダ)
(お知らせです)
ミツマタを描いた切手が日本から発行されましたので、追加しました。これまでミツマタを描いた切手を見たことがありませんので、ひょっとしたら世界で最初のミツマタを描いた切手なのかもしれません。
日本の植物切手はありふれた植物ばっかり取り上げている、とブツブツ言っておりましたが、今回はよかったなあ・・です。
2744.今日の植物(2227):ミクロビオタ
ミクロビオタは、ヒノキ科 Microbiota 属(ミクロビオタ属)の植物で、この属に分類される種は切手に取り上げられているMicrobiota decussata種の1種だけという、1属1種の植物です。
ウイキペディアの情報によりますと、このMicrobiota decussata種は、極東ロシアのSikhote-Alin(シホテアリニ)山脈の限られた地域の固有種だということです。
面白い情報がありました。
この種は1923年に発見されたのですが、当時のソビエト政府の方針でその情報は50年にわたって対外的に秘密とされていたのだそうです。なぜこの植物の発見が秘密にされる必要があったのか、ということについては情報はありませんでしたが・・
この種は、公園や庭園で常緑の樹木としてよく利用されているということです。乾燥や寒冷な気候にも強いところが買われたのだと思います。また葉は、冬季に褐色になり枯れたように見えるものもあるのだそうですが、それも春には再生するということです。
属名のMicrobiotaは、micro(小さな)+ Biotaから来ています。このBiotaはかつてBiota orientalis(現在はPlatycladus orientalis:コノテガシワ)とされていた近縁の植物のことだということです。
写真です。手元にありませんでしたので、ネットから借用しています。
ウスリーヒバ Microbiota decussata
●柔らかに広がっているところから、Siberian carpet cypressと呼ばれています。
切手です。和名ではウスリーヒバと呼ばれています。
ウスリーヒバ Microbiota decussata
2013年 ロシア発行(針葉樹の実)
●この切手は次のセットで発行されました。⇒切手植物図鑑
2743.今日の植物(2226):パラキウム
パラキウムは、アカテツ科 Palaquium 属(パラキウム属)の植物で、The Plant Listには121の種名が挙げてありましたので、大きな属ということになります。
ウイキペディアの情報によりますと、Palaquium 属の植物は、インドから東南アジア、マレーシア、オーストラリアから太平洋西部の島嶼地域に分布しているということです。これらの分布地域の中でも、フィリピンおよびボルネオ島のマレーシア領の部分に多くみられるということです。
切手に描かれているPalaquium gutta種について情報がありました。それによりますと、この種は、40メートルにもなる高木で、なかなか有用な樹木のようです。
この木から採取されるGutta-percha(ガタパーチャ)と呼ばれる樹脂はゴム材として知られていて、特に水中で変質しないところから海底ケーブルの被膜として使われていたということです。この用途は、現在は高分子化合物にとって代わられたとのことですが、現在ではゴルフボールの外皮材として広く使われているそうです。
また、石鹸や蝋燭の材料にもなるということです。
写真です。切手に描かれているもう一つの種も一緒に掲載します。いずれも 手元にありませんでしたので、ネットから借用しています。
ガタパーチャノキ Palaquium gutta
パラキウム・ロストラツム Palaquium rostratum
切手です。
(左)ガタパーチャノキ Palaquium gutta
(右)パラキウム・ロストラツム Palaquium rostratum
2018年 マレーシア発行 2010年 インドネシア発行
(国立電信博物館) (地域の動植物)
●マレーシアの切手は次のセットで発行されました。⇒切手植物図鑑
最初、なぜこの植物が電信博物館の切手に描かれているのだろうか、と不思議に思っていたのですが、上記のようなことだと分かり納得したところです。